地を這うもの

都政ギャラリー展示 南硫黄島

都庁の都政ギャラリーで南硫黄島のパネル展示が始まったので行ってきた。

都庁で南硫黄島のシンポジウムに並行してパネル展示が行われるというので楽しみだった。シンポジウム行きたかってけど休み取れないので。
昨年年末の「生命の星・地球博物館」の企画展「南硫黄島展」は巡回展のように移動可能なパネル展示だったので、地球博物館の受付のお姉さんに聞いたところそうらしいというの、期待していた。
初日なので様子見に上陸スタッフいるかなと期待して出掛けたら、なんと鳥類学者の川上和人先生が来場されていて直接お話をうかがうことができた。
今回のシンポジウムのためのサイトができていてパネル展示に合わせて上陸メンバーの来場スケジュールがあるのを後に知った。
地球博物館では展示されていた標本類は今回はなかったものの、代わりに島の東西南北面のパネル4枚と
島の立体模型があって、島の形を周囲から見渡せて地形がよく分かる。
島の急峻さを直感的に納得できた。
自撮り用に巨大な島のタペストリーがあり、会場には撮影用の枠に自分を収めてプリクラのように写真を撮れる。
パネルは地球博物館にはあった出発前の防疫処理や参加スタッフの救急や水泳、体力トレーニングなどのパネルは省かれていた。
地球博物館ではスタッフの編集した動画を流していたが、本展示ではなく、代わりにノートPCで動画を見せてもらえた。
スタッフの生解説付きだ!!

地球博物館での動画で「南硫黄島温泉どと、温泉湧いてるんだ」と思ってたら
南硫黄島温泉は「なんちゃって温泉」。「温泉が湧いているのは硫黄諸島では硫黄島だけ。」
動画やパネルに映ってるスタッフがとても楽しそうに見える、「それは島の生活がハードでハイになってるだけ。」
川上先生から種明かしをいただけた。
ちなみに今回の生解説付き動画の最後にも「自分に温泉だと言い聞かせて海につかってるスタッフ」のシーンがあった。

西

立体模型。縮尺スケールが表示されている。
よく見る地図の立体化は縦に数倍して強調するが、この島の山頂は916m、幅2Kmつまり強調していない。
三角定規の直角2等辺三角形だ。いかに急峻かわかる。

立体模型、高さは強調されていない横高さ1体1みたい
左の模型と対比して。この地形図で作られた模型であろう。

立体模型を上記の島の東西南北画像に当てはめて4方向から。好きな角度から島を眺めて地形を確認できる。
赤い糸で示した登頂ルートはひたすら45度傾斜で山頂を目指すというのをよく理解できる。
動画で見せてもらった中で隊員がコルに到着して先についた仲間に握手するシーンがある。
「まだコルに着いたに過ぎない、山頂はこの先なのに。それくらいこの登頂はきつかった」
とのこと。
動画のなかで、「ここが火口になってる可能性がある、近年噴火していたのかも、時折噴火してるのかも」
多分、模型では西面が剥げた茶色いとこ。2箇所あるうちのどちらかまたは両方。

西
南 ベースキャンプと登頂ルートは南面、コルから南西側稜線で山頂
衛星画像に地点名を表示
登頂ルート。立体なのでいかに傾斜がキツイかわかる。
コルまで谷を登りコルからは稜線

ドローンが果たした役割は大きい。
「アカアシカツオドリの営巣地が、たまたまドローンの撮影に映ってて帰路の船の中で再生して気づいた。
前回の調査では南硫黄島が繁殖地になってる可能性が高かったが、ドローンのおかげで人の行けない場所での繁殖が確認できた」
「もう一度確認したかったが帰路なので後の祭り」
「上陸許可は次の10年後ぐらいだろうが、西之島新島での調査のようにドローンだけ飛ばしてサンプル採集の許可が
降りないかと思案中」とのこと。
「ドローンの動画で見るとさざなみに見えるが、島の大きさから比較すると実は波が高い」
「海岸の丸石は波の侵食による、尖った石は斜面から崩れきたもの」
従ってベースキャンプは波と落石をよけて細長い範囲。

立体模型上のの地点
三角定規(笑)
アカテツパラダイス
松江岬とクロアジサシ集団の発見地
コル、日本語で鞍部、傾斜がおさまって平坦になる。
研究者はここに泊まって調査する。狭いとのこと。
「2007年調査のときは気持ちの良い草原だったのが一面のブッシュになっていた」
山頂、山頂は植物が崖っぷちに生えており油断すると落下する危険がある

動画やパネルにもあった、コルに夜帰ってくる沢山の鳥の話。
「夜が島に帰ってくると隊員のテントにかまわずもぐりこんでくる。
朝起きると脇の下に鳥がもぐりこんでいたりとか」
夜帰ってくる鳥は普段日中はどこにいるのかと川上先生に伺ったところ、
「餌を取ったりしている。メスが抱卵しているときはオスは遠くへ行っている。
オスメス交互に温める、毎日帰ってくるわけではなく何日かにあけて還ってくる」
「水鳥は1000キロぐらい簡単に飛べる。時速100キロぐらいで滑空するのでエネルギー消費が少ない。本州で確認されたり、インド洋まででかけてたりする」
下の画像のように
「水鳥は飛翔時足ひれを補助翼のように使ってバランスをとる、それは羽毛恐竜で足にも翼のあるのと同じ使い方かも」
下側から鳥を見上げる写真で確かに足ひれを水平にしているのが確認できる。

アカアシカツオドリ
アカオネッタイチョウ

オガサワラオオコウモリがこの島では日中に空を飛んでいる。厳しい食糧事情のせいかもしれない。水鳥同様下から青空背景に撮影しているので飛行中のボディラインや血管までよくわかる。

オガサワラオオコウモリ

ドローンのポップは地球博物館にはなく今回追加されていた。
参加メンバーのコメントボードにスタッフの皆さんの楽しいコメントを読むことができた。

ドローンのポップのパネルは地球博物館にはなかった。初観
調査隊メンバーのコメントパネル(川上先生)
小笠原ビジターセンターが元の展示
だったようだ。
入り口の開催中の告知看板
中央で説明してる人が川上和人先生
博物館名 都政ギャラリー
企画展・特別展名称 南硫黄島
東京の原生自然環境保全地域
冒険・発見・最後の秘境!
開催期間 2019年1月22日~2019年1月30日(26日を除く)
10:00~17:00
料金 無料
音声ガイド なし
図録 なし
撮影可否 可、拡散希望とのこと
訪館日 2019年1月22日(火)