小田原の「生命の星・地球博物館」の次の企画展特別展をチェックするため、サイト見に行ったら「南硫黄島」展が始まっていて、
開催期間も3週間ぐらいなので早速ゴー!
突発的すぎて図録もチラシもない(サイトにPDFのチラシがある)。
2017年「南硫黄島合同学術調査」の展示
1年ほど前に出版された「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」に南硫黄島学術調査の話が載っていた。本書をパラパラ読み返すと2007年の学術調査とあった。今回はそれから10年後、2017年の学術調査の企画展。
今回は2007年前の調査隊員が再び参加していて2007年のメンバーがかぶっているとのこと。なんと本書の著者、鳥類学者の川上和人先生も再び参加しているとのこと。
川上先生の解説しているパネルもあり、本書を読んだばかりで関連付けて楽しめた。
学術調査は1936年、1982年、2007年過去三回で今回は4回目。10年前の経験も生かされるとともに、展示でも当時との変化なども語られている。
南硫黄島はどんな島か、出発前の検疫から上陸、登山ルートの設置まで
展示内容はパネル形式。展示物は島から持ち帰った生物の標本の一部と装備、動画。南硫黄島の位置、どんな島かを説明したあと、島の生態系を保存するための厳重な検疫の話。
出発前と父島に帰島後のどちらも厳重に行ったとのこと。
装備や島の頂上へ行くため海洋登山救命などの様々な訓練、調査隊の編成(上の画像にどんな人が参加していたかわかる)と続く。
上陸後、登山班が登頂ルートをつくる。そのあと、キャンプでの食べ物の話、楽しいエピソード、大変だったこと、などなど。
後半から学術調査の報告。南の島のきれいな画像とともに解説されていて楽しい。
普通の一般向け登山ではないので道を作り安全なルートを確保し水や食料を上げ、全て整ったら研究者に同行し登頂する。
2班編成の調査隊を登山班はサポートしながら一緒に登頂するのでルート作成時と合わせて3回以上登頂する。平均斜度45度!!
崖にはしごを掛けるとき、そばに海鳥の巣があっても鳥は人間を全く恐れない、原生の島。
調査隊は島で1,2泊する。波にさらわれない、落石に当たらない場所を探してベースキャンプ(非常に少ない狭い)を設営。
ベースキャンプでの食事の内容についてもパネルで説明している。ウミコオロギが隊員のご飯目当てに現れて足をかじるとか。
登山屋さんの目線の解説が面白い。
また、航海に使用した船はNHKのチャーター船「第三開洋丸」、快適すぎると述べている。
島は2007年のときと変わっていて山頂までの中間点コルが2007年では森林だのが両側が土砂崩れで削ぎ落とされた細い尾根で、そこで過ごす一夜は緊張感があったとのこと。
前回調査のときと装備にも大変な進歩が見られた。LEDの進歩のおかげで乾電池が小さくなり小型軽量になった。
ドローンのおかげで、上陸するだけでは見えなかった島の全貌を捉えることができるようになった。島の鳥を驚かすことなく詳細に撮影できた。
山の幕営地には地面に穴があり、夜になると海鳥たちが一斉に雨のように帰還する。「隕石のように一直線に」「海鳥の島なのだと実感」と文中にあった。
このあと学術調査の説明のパネルに移る。気象と植生、生物相どこから来たか、南硫黄島にしかないもの、共通のもの、各生物別の調査結果等。
学術調査の展示パネル
展示パネルはもっとたくさんあったのだが、きりがないし何もかも貼るのはイカン気がして。
今回の企画展ではチラシも図録もなかった。急遽決まった企画展とのこと。
「パネル中心の展示なので巡回展ぽいですが?」と受付のお姉さんに聞いてみたら、そうらしいとのこと。
バージョンアップして近場で再開できたらうれしいな。その時は図録作って欲しいものだ。
博物館名 | 神奈川県生命の星・地球博物館 |
企画展・特別展名称 | 最後の秘境 南硫黄島 |
開催期間 | 2018年11月17日(土曜)から12月9日(日曜) |
料金 | 本企画展だけなら無料だったのかも。 20歳以上65歳未満(学生を除く) 520円 15歳以上20歳未満・学生(中学生・高校生を除く) 300円 高校生・65歳以上 100円 中学生以下 無料 |
音声ガイド | なし |
図録 | なし |
撮影可否 | 可 |
訪館日 | 2018年11月27日 |
こんなのが開催されるようです。シンポジウム 南硫黄島