地を這うもの

火星~赤い惑星のひみつ 平塚市博物館 平成30年夏期特別展 へ行く

平塚市博物館で開催中の「火星~赤い惑星のひみつ(The secret of Mars red star)」を見に行ってきた。

幼少期(たぶん小3)、夏休みに家族で海に行って日焼けした寝苦しさと疲れで夜目覚めてホテルのベランダで見あげたひときわ明るい赤い星。「火星って大接近すると普段よりも明るいのね」ぐらいにしか思わなかったが火星の大接近と聞くと記憶が蘇る。
平塚で火星展やってると知り、早速行ってきた。購入した図録によると2003年の大接近のときは観望会が大盛況だったようで、現在は火星探査が進み当時より火星に対する知識が飛躍的に増えたそうだ。
実際探査機の紹介から始まって火星の地形をローバーからの画像や上空あるいは望遠鏡の画像で紹介。火星と他の惑星や地球、小惑星、衛星とのデータ比較、火星観測の手段、火星観測の歴史、火星観測最前線としてこれまでわかっていること、火星に見せられた人々、日本人と火星、有人火星ロケット、火星とサイエンス・フィクション、とても豪華。
市立博物館だけあって、学童の自由研究に最適!!
中学のとき夏休みの自由研究で火星について調べたが、当時バイキング1号、2号の話題を中心の自由研究だった。今は情報いっぱいで充実した自由研究になるだろうな。情報多すぎて子供にはまとめらないかな?

最近の探査機の紹介。ふだん火星のこと全然気にしてなかったのでこんなにあってびっくり。探査機オポチュニティは活動開始後16年を経ても現役で貴重な画像を送り続けているそうだ。なんでも何回か計画の延長を繰り返しているらしい。

火星が赤いのは酸化した鉄分を多く含む表土のため。探査機の軌道から内部の密度分布を求める。火星の内部は地球と似た構造。探査機からレーザーによって高度を測定した地図。

火星の風景。および上空からの画像。巨大な火山のあと、流水の痕跡(チャネル)、峡谷。火星の砂嵐。表面を覆い、いつ終わるともしれないため観測の妨げに。

地球との比較。

他の惑星、天体との比較。

火星隕石。火星由来の隕石。なんで火星の隕石なのか以前から疑問に思っていたが、放射性同位元素の年代測定で隕石の生じた時期がわかり、その頃の火星はまだ火成(笑)の只中にあったと思われそこへ他の天体が飛び込んではじき出されたもの。天体の大きさとしても火星以外考えられないとのこと。さらに火星探査機バイキングが火星の大気を分析しており、隕石中に含まれる気体の成分が一致するらしい。
他の天体からサンプルを持ち帰るのは中々困難なので出自の明らかな隕石は、手に入りやすい資料であるとのこと。

レーザーで表面の高さを図り地図を描く。

地球からの見え方。床の地球と火星の月別の位置に自分で立ってみて火星の大接近を体験できる。

火星の衛星。火星の衛星はどうやってできたか。近くを通過した小惑星が火星に捕らえられた、他の天体の衝突で火星からもぎ取られて衛星になった、との2説。フォボス、ダイモスみると皮を向いたじゃがいもに見えてしょうがない^^;

火星に見せられた人。
火星の研究者というとティコ・ブラーエ、ケプラー、スキャパレリ、ロウエルなんて思い浮かぶ。

有人探査計画。
NASAで計画されている有人探査。行くのも帰るのも火星大接近のタイミングなのでその間人間は狭い場所で耐えられるか、なんてことも実験しているそうだ。

JAXAの計画。巨大衝突説でフォボス、ダイモスができたとしたら、フォボス、ダイモスからサンプルを取ってくれば火星の地質を知ることができるということで、JAXAは小惑星探査機「はやぶさ」のようにサンプルを持って還る計画を準備中。2025年軌道投入、2029年帰還を予定。

火星とフィクション。
今どきの展示らしく火星の出てくる小説やマンガ、映画にもふれている。でもやっぱり最初は宇宙戦争なのか!?スキャパレリのスケッチに線が描かれていてこれを本人が溝(、イタリア語でcanali、英訳するならgroove,trench,channelと訳すべきところ)、これの英訳をcanal:運河としてしまって人工物がある、知的生命体がいるというながれで火星人がいるかも知れないと広まってしまったそうだ。でロウエルが火星人の存在を主張したとか。 知ってる作品を付箋に書いて貼り付けようなんてコーナーもあった(撮り忘れた)。

企画展「火星~赤い惑星のひみつ」図録。
500円。展示以上に細かく解説されており、上に上げた画像は一部で実際の展示はもっと多いしローバーが撮った写真はとても美しい。火星大接近で火星の本出てるかなと思ったけどあまりないので、この図録は今わかっている「火星のすべて」といった感じでオススメ!!

火星大接近は、火星から見ると地球大接近。でも・・・
「地球大接近」
「いいえ、あれは太陽です 火星では、地球大接近は観測が困難です(昼の空にしか見られない)」
入り口のパネルにあったカット(笑)

企画展「火星~赤い惑星のひみつ」は平成30年7月14日(土)~9月9日(日)平塚市博物館 特別展示室にて 入場無料

平塚市博物館について

平塚市立の博物館。自然・科学系博物館+郷土博物館。入場無料。館内はそれほど広いわけではないが、展示品が充実している。相模平野全部入りみたいな博物館。プラネタリウムあり(有料)。古代は国府が近くにあったとか、大山詣とか、海軍の火薬工場があったので空襲にさらされたとか、丹沢や箱根が近くて相模川があるので岩石の標本も多い。野外にSL(D52:御殿場線で使われていたもの)や、でかい岩石のサンプル。地味そうでいてなかなか中身濃厚。

この立体地図が好き!